犬にとって大好きな飼い主さんとともに行動する散歩の時間は、1日のうちで最も楽しい時間です。
散歩は世界で一番頼りになる飼い主さんと自分の縄張りを歩くいわば飼い主さんとの共同作業ですから、犬にとってこれほど嬉しいことはありません。
通常人間が言う外をぶらぶら歩く「散歩」とはまったく意味合いが違ってきます。
ですので、飼い主さんと歩く散歩と、飼い主でもない人に連れて行かれる散歩とでは雲泥の差があります。後者の方では、単に筋肉や関節の運動になっているだけの場合があります。犬は飼い主さんにリードを握ってもらいたいのです。
また、広い庭で放し飼いにしているので、散歩には行かなくてもいいだろう、と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、それは間違いです。上記の理由からもそうですが、庭で放し飼いにしているということは、単に自分の領域だけで過ごすことになります。そうなるとあまり外に出ていないせいか神経質で臆病な子に育ってしまいます。
それよりも、散歩によって、外の世界を見せてあげましょう。いろいろな刺激を受けて、社会性を身につける機会として、とても大切です。そうすることによって、好奇心が刺激され、生き生きとしてくることでしょう。
特に子犬の頃に外の環境に慣れさせると、大人になっても少々のことでおびえたり物怖じしたりしなくなります。それだけでなく、庭で放し飼いにしていても、大した運動にはなりません。隅っこの方で寝ていることが多く、自分から運動することがないからです。ですので、散歩に出て、意識的に歩かせる必要があります。
柴犬は比較的運動が好きな犬種ですので、できれば1日2回連れて行ってあげましょう。犬によって個体差があり、運動量も違うのですが、散歩から帰ってきてへばっているのは、散歩の時間が長いのかもしれません。逆に元気がありあまってはしゃいでいるようでしたら、もっと時間をふやしてあげてもいいでしょう。
また、散歩は健康維持にも役立ちます。外の刺激と散歩による適度な運動で、老化の進行を緩やかにすることができます。逆に、散歩をしないことによって犬はストレスをためてしまいます。それが、無駄吠えや噛みつきという行為に現れ、夜もなかなか寝付けなくなる原因にもなります。
以上のように、犬の散歩には様々な意味があります。外の世界を見る良い機会であり、そのため犬として人間社会で社会性を見につけるための貴重な経験の場ということができるでしょう。